こんにちはつよぽんです
木由来の化学物質の話です。
疲れたなあと感じた時、森林に入って木の香りに包まれる、いわゆる森林浴にリフレッシュ効果・癒し効果があるのは、植物が発散する化学物質(テルペン類)によるものが多いと考えられています。
このテルペン類の代表的なものとして、α-ピネンとリモネンが挙げられます。
α-ピネン、リモネンとは
α-ピネンは、マツ、ヒノキ、スギなど多くの針葉樹に含まれ、特有の香りを持ち香料や医薬品の原料として広く使用されています。
また、リモネンはレモンやミカンなどの柑橘類の果皮に含まれる芳香成分で、α-ピネンと同様の樹木にも含まれ、こちらも香料や医薬品の原料となります
。
住まいの中の天然成分
室内空気中から検出されるα-ピネンやリモネンは、芳香剤・消臭剤などの使用によるものも含まれますが、数百μg/m3レベル(空気1m3当たりに数百μg
含まれる;μgは1gの100万分の1)の場合は、建材や家具などの木材から放散されたものと考えられます。
また、厚生労働省は、室内空気中のホルムアルデヒド、トルエンなど13物質について室内濃度指針値を定め、さらに室内空気質のTVOC(Total Volatile Org
anic Compounds ; 総揮発性有機化合物)の暫定目標値を400μg/m3と設定しています。
TVOCは100種類以上あるVOC(揮発性有機化合物)濃度の合計ですが、全種類のVOCを測定することは容易ではありません。
シックハウスに対する意識の向上にともない有害化学物質の含有量の少ない建材・接着剤・溶剤が使用されるようになり、その効果は、室内空気中のホル
ムアルデヒド濃度の顕著な減少として現れています。
>確かにホルムアルデヒドは減っています、そして13物質も減っています、しかし規制物質以外の化学物質が増えています。
一方、無垢の建材を使用した住宅において、テルペン類のα-ピネン、リモネンがその2項目だけでTVOC暫定目標値と同等のレベル、あるいはそれを超えて
検出される例がしばしば見受けられます。このようにテルペン類が数百から1000μg/m3近く検出されるという事例は、全国的にあるようです。
昔から建材として使用されてきた“木”から放出され、人に安らぎを与えるこれらの天然成分が、他の化学物質と同等にTVOCの項目として規制されるのはお
かしいという意見もあるようです。
>化学物質の揮発性物質と同じ考えで規制するのはおかしいですね。
確かに昔の住宅は無垢材ばかりを使って建てられていましたが、土壁や障子で区画された部屋は通気性がよく、建材がテルペン類を放出しても室内に滞留
することは少なかったようです。
アルミサッシやクロス貼りの壁で高い気密性を有する今日の住宅の室内環境は、昔の住宅とは全く違ってきているようです。
健康への影響は?
高濃度のα-ピネンがマウスにストレスを与えるという報告もあるようですが、その毒性についてはまだ明らかではないというのが現状です。
あらゆる化学物質がそうですが、ある人には癒し効果があるものでも、別の人にはそうでないこともあります。
α-ピネンやリモネンの室内濃度指針値については、さらに動物実験や疫学調査などを重ねた後に必要に応じて策定されることになると思われます。
毒性評価ができていない状況ではありますが、森林中に存在するα-ピネンの濃度はせいぜい数μg/m3、リモネンではその10分の1というこれまでのデータ
と照らし合わせると、室内でそれらの百倍という濃度は高すぎるとも考えられます。
そこでTVOCの暫定目標値(400μg/m3)ほどのテルペン類が検出されるケースでは、通常のシックハウス対策と同様な対応、すなわち入居前にはできるだけ
放散させる時間を取り、入居後にはこまめに換気をすることが必要と考えられます。